リレー日記
前監督 岩崎陸
2017.02.10
オンザピッチでは身体を張って闘い、オフザピッチでの生活は、私より確実に充実している幸せな女子、2016年度の主将田中康子からバトンを引き継ぎ、リレー日記を書かせていただきます。2016年度まで監督を務めておりました、岩崎陸です。
この度、2006年の創設から11年務めたソッカー部女子の監督を退任致しました。
いつもソッカー部女子の試合に駆け付けて下さり、応援をいただいた皆様には、直接御挨拶が出来ていない方もいらっしゃり、失礼しております。昨シーズンも、なかなか勝てない状況の中、最後まで応援をいただき、誠にありがとうございました。
「艱難汝を玉にす」という言葉がありますが、主将の田中康子を中心として艱難に挑み続けたチームは、磨かれて玉となり、今後の部の歴史に美しい輝きを放つ礎になると考えています。
ソッカー部現役時代からの同期、並びにGKコーチ兼、広報のチェック役であった臼井からは、退任を発表してからでは遅いと叱られそうですが、最後の機会ですので、部のエピソードとこれまでの感謝を含め、記させていただきます。
私が、このソッカー部女子に出会ったのは、部の原型となったサークル活動、FC Coulisseに10歳下の妹が所属していたことがきっかけでした。ふと妹に誘われて観に行った試合は、2004年度の大学リーグ2部の試合で、相手は埼玉大学、場所も埼玉大学のグラウンドでした。
結果は2-0の勝利でした。結果ではなく、今、考えれば、その試合で観た、決してお世辞にも上手いとは言えない、しかし、純粋にひた向きにボールを追う選手たちの姿に、私の中の何かが突き動かされたのです。そしてそこから、2006年のソッカー部女子創設を挟んだ約12シーズンは、その何かに突き動かされた情熱だけで走り続けた日々でした。
今でこそ、女子サッカーは、なでしこジャパンの活躍もあり、社会に認知されましたが(とは言え、まだ発展途上で多くの方々のサポートを必要としています)、当時は、そもそも慶應義塾に、大学を代表して、大学リーグで闘っている女子サッカーチームがあるということすら知りませんでした。部OBの有志の方の支援を受けていましたが、決して恵まれているとは言えない環境の中で(認知されていない、定まった練習場もない、屋外での着替えは当たり前、そもそも11人ぎりぎりのメンバー等々、女子サッカー共通の環境ですが)、ただサッカーをすることを楽しみ、慶應のプライドを背負って、学生自らがチームを運営しプレーしていたのです。今となっては苦労話ですが、この頃の様子は部の歴史のページに記載されております。
私は、1999年にソッカー部を卒業後、社会人として、サッカーやフットサルを続けていましたが、この出会いをきっかけにサッカーコーチの道を歩むことになりました。2006年度のソッカー部女子創設に伴い監督に就任し、2008年度からは合宿所に住み込み、24時間365日ソッカー部女子に向き合いました。またこの間、イ・ウーヨン男子部前監督、須田芳正現監督の下で男子部コーチも兼任し、日吉キャンパスでの体育サッカー、フットサルの授業、また、慶應サッカースクール、提携するYOKOHAMA FC KEIOサッカースクールのコーチを務める等、“慶應ソッカー”にどっぷりと浸かることが出来ました。
またソッカー部女子が、東京を代表するチームに成長したことで、2011年ユニバーシアード深セン大会、2015年、2016年の東京国体チームに関わりました。
この12年間は掛け替えのない幸せな時間だったと、退任を決意した今、強く思います。この時間をいただいた皆様には感謝の言葉しかありません。
「サッカーコーチの指導者は、今、目の前にいる選手」
雨風の中、自ら決めた毎日パス1000本をやり抜く学生。朝5時半からキック板に向けてボールを蹴る学生。骨折し、試合に出場出来ない悔しさで、松葉杖でトレーニングする学生。美談に出来ない程の喜怒哀楽を、学生はピッチで表現しました。これまでソッカー部女子は12年間で56名の卒業生を送り出してきましたが、その一人ひとりと向き合って、サッカーを創り上げていく過程で、私は多くのことを学びました。
慶應の学生スポーツに関わる大人の役割は、大人がトップダウンで引き上げるのではなく、学生自身が考え、実行する学生主体の運営を「見守り」「補完していく」ことだと考えます。
監督である私の役割は、4年で学生が入れ替わることでぶつ切りになる運営力・競技力強化の継続性を高めると共に、部の運営に対して、学生の視座を高め、視野を広げ、視点を増やし定めるヒントを提示することでした。しかし結果的に、私も学生から多くを学び、様々な成長の機会をいただきました。まさしくスポーツを通して慶應義塾の「半学半教」の気風を実現する場であったと考えています。
歴代のマネージャーの活躍で、創設当初は、まばらであった応援も、今では試合の度に、学生、OB、OG、保護者は基より、日吉、下田地域の方々、女子サッカーサポーターの皆様に来ていただけるようになりました。また、実績のある強豪クラブ、強豪高の高校生も、慶應の門を叩いてくれるようになりました。
しかし、早慶戦勝利、昨シーズン掲げたインカレベスト4、そしてその先にある優勝はまだ成し遂げられていません。更に成長して行く為には、自ら変化を起こしていく必要があります。伊藤洋平監督の下、新たなチームは、ソッカー部女子の「不可能への挑戦」「積み重なる信頼」「ピッチからはじまる貢献」を理念に、様々な困難を乗り越え、そのリスタートを鮮やかに切ってくれると確信しています。
私事ではありますが、4月より栃木県の宇都宮短期大学付属高校に赴任致します。そこで、文武を極める気概を持った学生を慶應義塾に送り込みます。
そしてこれからは、同じく本年で退任した臼井GKコーチ、岡田アドバイザーと共に、サポーター席で、年々進化するマッチデイと部員からのメッセージ付き「カイロ」を受け取り、皆様と共にソッカー部女子を応援して参ります。
今後共、ソッカー部女子に温かいご支援ご声援の程、宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。
- 『ありがとう』(4年 ブラフフェイ)
- 『幸せをくれる場所』(4年 秦野くるみ)
- 『誰かの為に動くこと』(4年 髙橋佳里)
- 『宝探しか、間違い探しか。』(4年 行徳のえ)
- 『120点』(4年 田中里奈)
- 『感謝の心』(3年 福岡愛実)
- 『やっぱり私は甘党』(3年 野田明日香)
- 『味わいたい甘み』(3年 佐藤真智)
- 『勝つこと』(3年及川莉子)
- 『悲劇であり喜劇』(3年深澤菜月)
- 『慶應らしさ』(3年山本華)
- 『強くなったと言いたい』(2年岩瀬絢弥)
- 『守備の醍醐味』(2年大井沙羅)
- 『逃げるは恥』(2年長野真理加)
- 『勝つことの難しさ』(2年大橋桜子)
- 『人の心を動かす』(2年劔佳那)
- 『仲間に恵まれた10年間』(1年守部葵)
- 『可能性の拡大』(1年中村美桜)
- 『チャレンジする場を求めて』(1年坂口芹)
- 『大人になることとサッカーすること』(1年佐々木ユリア)
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