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2023.10.28 引退ブログ

『悲劇か喜劇か』(4年 福岡愛実)

ホームページをご覧の皆様、こんにちは。
今年度主将を務めさせていただいております、環境情報学部4年の福岡愛実です。

今シーズン主務を務め、ピッチ内外でチームを支え続けた野田明日香からバトンを受け継ぎました。1年生から慶應のゴールを守り続けた彼女は、誰かのためにチームのために動ける尊敬出来る人の1人でした。たまに同期の地雷を踏んでしまうところ以外は。
1年生の頃、試合後いつも一緒に泣いていた明日香が強くなっていく姿を見て何度も頑張ろうと思えたよ。ここまで支えてくれて本当にありがとう。

恭佳と共に、入学できたのはラッキーだと言われてきた私がTEAM2023リレー日記のアンカーを務めるのはだいぶ不安ですが、自身の想いや感情をありのままに綴ります。こんなに長い文章を書くのもきっと人生最後になるので許してください。愛重めで、拙く纏まりのない文章ではありますが、時間がある際に最後までお読みいただけると幸いです。

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大学1年生 大学リーグ0勝4分5敗、早慶戦0−1負け
大学2年生 大学リーグ0勝1分21敗、早慶戦0−3負け
大学3年生 大学リーグ8勝5分5敗、早慶戦0−2負け
大学4年生 大学リーグ4勝8分5敗、早慶戦1−2負け(5勝8分5敗予定です)

 
これらは私が過ごした慶應ソッカー部女子での“結果”である。
ずっと志してきた「インカレ出場」「早慶戦初勝利」からは程遠く、勝利した瞬間なんて忘れてしまうほど絶望的に勝てない日々が続いた。自然と試合を迎えるのは怖くなり、サッカーをしていて楽しいより苦しい感情の方が圧倒的に上回っていた。入部してから約2年半もの間一勝もすることが出来ない苦しみも、点差が広がると共に感じる悔しさを超えたしんどさも、成長を感じることが出来ない虚しさも、経験してみると想像以上にきついものだ。目に見える結果が全く出ない中で、必死に奮い立たせては打ち砕かれて、それでも前を向くしかない、そんな毎日の繰り返しだった。

それでも、慶應ソッカー部に来て良かったと思えるように、自分で選んだ道を正解にするために頑張り続けるしかない。そんな想いを持ちながら、起こる出来事に意味を見出し続けることで自分を保っていた。どんなに上手くいかないことがあっても「きっとこれは伏線だ、最後にハッピーエンドを迎えるための試練だ」と言い聞かせていた。そうやっていつしか結果という現実から少しずつ目を背けて、結果の出ない毎日に「結果より過程が大切だから」と自分自身に言い訳してきたのだと思う。

 
TEAM2022前期第5節、ソッカー部女子で入部後初勝利をしたときに、忘れかけていた感情が爆発した。勝利の瞬間は何にも変え難いものであり、勝利という結果は今まで苦しみもがき続けてきた過程を一番に肯定してくれるものであると心の底から思った。そして、最初から過程だけに満足するのではなく、本気で結果を追い求めて葛藤を抱きながらも向き合い続けてこそ、初めて胸を張って素晴らしい過程が生まれるのだということを改めて肌で強く感じた。

だから、主将を務めることになった今シーズン。私の中で結果に拘ろうと決めた。
同期や後輩のみんなが慶應を選んで良かったと、チームに関わる全員がこのチームで良かったと思えるように。自分自身が過ごしてきた時間を、自信を持って肯定できるように。そして何より、ここまで支えてくれた全ての人に、結果というカタチで恩返しをすることで最大の感謝の意を表すために。今まで成し遂げられなかった目標を達成して、見たことのない景色を見るために、チームの先頭で「一部昇格」を目指し続け「原動力」を体現し続けるんだと胸に誓った。

しかし、そう簡単に結果が出るわけもなく、上手くいかないことばかりだった。シーズン前の自信は過信でしかなくて、勝てない日々が続く中でチームの勢いがなくなっていく。そんなことを感じながらも、4年であり主将であるにも関わらず何も変えることが出来なかった無力な自分に腹が立つ。ありきたりな褒め言葉で使われる優しさは組織の甘さや緩みに繋がり、自身の弱さがチームの自信の無さに繋がる。もっともっとやらなきゃという思いとは裏腹に、周囲の期待に応えられないことが情けなくて、自分の不甲斐なさに落ち込む毎日。この3年間も中々勝てなくて同じような苦しみを経験していたはずだったけど、主将であり10番という慶應を象徴するべき立場であることが、無意識に少しずつ自分を追い詰めていたのかもしれない。次第に、周りからの期待はプレッシャーに変わり、シーズン始めに自身に問いかけた責任と覚悟はいつしか自分を苦しめるものになっていた。

後期第2節の立教大学戦後、昇格の可能性はもう無いと言われたとき、自分を奮い立たせるために繋ぎ止めていた糸がプツンと切れた。私がこの組織や大切な人に残せる結果という恩返しのカタチが無くなったことがとてつもなく悔しかった。後輩たちが来年1部の舞台で出来るチャンスが無くなったこと、半数以上が怪我の中各々の立場からチームの為に行動してくれた3年生がインカレ出場を目指す機会を掴めない事実に申し訳なさを感じた。家に帰ってからも、日付が変わり時間が経っても、ただただ涙が止まらなかった。そしてその瞬間から、私の中で上手くいかない日々に価値を見出すことが難しくなっていった。
この経験がたとえ今後社会に出たときに向けた伏線だったとしても、私にとってそれでは意味がなかった。それだけこの組織でこの仲間とハッピーエンドを迎えたかった。頑張れていないときは何よりもきつい。一番変わるべきなのは自分だと自覚していたからこそ、仲間に要求することも鼓舞することもままならず、主将として取り繕うことさえ出来ずにいた。何も心に響かず必死になれない自分が嫌で嫌で仕方がなかったが、そんな自分とチームと向き合うのも怖くて、一歩引いて頑張りきれない自分への言い訳を探していたような気がする。

そんなとき、ドン底にいる自分を引き上げてくれたのは“人”の存在だった。
自分のために、チームのために頑張ってくれる“人”がいたから。違う立場でも、違う環境でも、葛藤しながら頑張る“人”を間近で見たから。どんなときも期待をして応援してくれる“人”がいたから。話を聞いて寄り添ってくれる“人”がいたから。
そんな姿を目の当たりにして見て見ぬふりをするわけにいかない、頑張らないわけにはいかなかった。何かしらの辛さや苦しみを抱えているのはみんな一緒。そんな中でも自分の感情なんて後回しで誰かのために動く姿がこの組織では当たり前に見える。頑張る原動力は小さいものから大きいものまで沢山ある中で、力に変えられるかどうかは自分次第。立場は違えどそれぞれの場所で頑張っている周囲の“人”の存在が、今にも逃げ出したくなりそうな弱い自分にもう一度立ち上がる勇気をくれた。

アウェイの試合でもホームの相手を上回る力強さで応援してくれる保護者の方々はいつもチームを後押ししてくれて。
どんなときもチームと仲間を優先して行動し続けてくれた先輩たちはいつまで経っても私の憧れで。
ちょっと生意気だけど自慢の後輩たちは(粗相を起こしたとき以外は)いつも可愛くて私の頑張る理由になっていて。
苦楽を共に過ごした同期たちは私の世界観を広げてくれたかけがえのない大切な仲間で、みんなと一緒にいるとすごく心強くていつでも頑張ろうと思える存在で。
(莉子と華は私の第二の家を持ち、元気がないときも必ず心を温めてくれて。)
どんなときも話を聞いて私の背中を押し、信じ続けてくれるテソンさんは心の底から尊敬出来る人格者で。
2年前に髙橋さんが言ってくださった「俺らは絶対に見捨てないよ」という言葉はずっと心の支えで。
自分のことのように女子部のことを思って行動してくれるタカさん、りささん、あやか、藤川さん、中田さん、八木さんには頭が上らない。

それだけではなく、
女子部のことを気にかけて声をかけてくださる男子部の社会人スタッフの方々。誰よりも忙しい中で女子部の練習に参加して励ましてくれるグラマネのみんな。男子部の練習後でも手伝ってくれるキーパー陣。公式戦ではいつも審判に入ってくれて、試合の度に声をかけ、慶應ファミリーとして女子部も同じように応援してくれる男子部のみなさん。

 
ここには書き切れないほど多くの人に支えられていて、その一人一人の姿は私の原動力だった。感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。

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喜劇か悲劇か。
最後にそれを決めるのは目に見える結果だけではなく、それまで本気で結果を追い求めた過程やそこに立つ人の心次第だと思う。
決して思い描いていた景色ではなかったかも知れない。けれど、慶應に入ったから見られた景色が沢山ある。慶應に入らなければ見えない景色を見ることが出来た。

何度も何度も悔しい思いをしてきたからこそ気付けた感情や価値観があった。バックグラウンドも経験年数も異なる仲間たちが同じ方向を向いて闘えたときの一体感は最高だと気付いた。人の存在が心を突き動かす原動力になることを、誰かの喜びが自分の喜びに繋がっているということを強く感じた。想いを背負って誰かのために組織のために動くということがどれだけ尊いものかを知った。

全てに結果が伴ったわけではないけれど、慶應ソッカー部を通じて出会った多くの人とそこで過ごした時間はかけがえのないものだ。慶應ソッカー部の一員として闘えたことを、そんな組織の主将を務めさせていただいたことを誇りに思う。慶應ソッカー部に入って良かった、あのときの選択は正解だったと心の底から思える。

どれだけ辛くて苦しくても、涙が溢れ出す時間が続いても、
大好きな仲間やスタッフと一緒に、大好きな慶應ソッカー部女子で、大好きなサッカーをすることが出来た私は本当に幸せ者だ。

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TEAM2023で闘う試合も残り1試合となりました。
苦しいときにチームを救えずみんなに助けられてばっかりだったけど、それでも最後まで信じてついてきてくれてありがとう。もっともっとみんなとサッカーしたかったし、勝利の瞬間を共有して喜び合いたかったし、部室でくだらない話をして笑っていたかった。みんなのことが、このチームのことが大好きです。最後勝って笑顔で終わろうね、21人全員で。

私がこのチームに残せる結果はもうないかも知れないけど、ピッチ上で私なりに見ている人の心に何かを残せるように、最後まで体現し走り続けます。4年間汗と涙を流し続けた下田グラウンドで、最高の仲間と最高のスタッフと必ず勝利できるよう全身全霊で戦い抜きたいと思います。

何を書こうかと全然進まなかったリレー日記も、ソッカー部で最後を迎えると思うと非常に寂しく、気付いたらこんなに長々と最後まで真面目に書いてしまいました。それでも愛すべき同期や後輩たちはここまで飽きることなく読んでくれていると信じています。華のリレー日記でも書き切れなかった身内ネタや、数え切れない程の思い出たちは、また直接思う存分語り合いましょう。

拙く纏まりのない文章になりましたが、最後までご覧いただきありがとうございます。
ラスト1試合、もう少しだけ力を貸してください。今後とも応援の程よろしくお願いいたします。

 

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