2025.10.28 引退ブログ
『正解にする覚悟』(4年 坂口芹)

ホームページをご覧の皆様、こんにちは。
総合政策学部4年の坂口芹です。寮生仲間で私のメンタルサポーターでもある3年福島日和からバトンを引き継ぎました。
日和、紹介ありがとう。
今でこそ、公の場で私の秘めた野望を暴露されてしまう程の仲ですが、出会った当初は私の目力と圧で怖がらせてしまったらしく、最初の半年間は挨拶か事務連絡以外でまともに話した記憶がありません。あの時期と自身のコミュ力の無さを後悔する程、今では何でも相談できる人の一人です。ただ寄り添うだけでなく、いつも本質を見抜いた視点をくれる鋭さと温かさを持ち合わせている日和には何度も救われました。
最近はもっぱら「スン活」に勤しむ彼女は、今夏の関西遠征でも、自分へのお土産だと言ってご当地グッズではなく全国チェーン店でスンスンポーチを手に入れていました。恐らく次は、某アパレルショップにも多額を注ぎ込み、着る服まで推し色に染まっていきそうです。
冒頭の紹介文としては長すぎる気がするのでこの辺にしておきますが、とにかく日和は最高な後輩です!いつもありがとう。
さて、本塾への合格が決まり、遡って読み漁っていたリレー日記を書くのも最後となりました。文才も何かを発信する力も乏しく、毎年リレー日記を書くのを渋ってぎりぎりまで書き始めないのは今回も同じでした。喜怒哀楽では形容しきれないような時間を振り返って自分らしく綴らせていただきます。拙い文章ではございますが最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
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自分自身はこの組織に入って正解だったのか。
入部を決めてからしばらく、私はこの問いの正解と不正解に囚われていた。なんとなく不完全燃焼で、でも大学生活も楽しんでみたくて、それでもやりたいことがはっきりしていなかった。そんな時に、人に恵まれ、ソッカー部に出会った。練習参加もしていなかったし、直接的な知り合いもいない。そもそも合格するかも分からない高校生に、時間をかけ、親身に向き合ってくれた。受験前からとりわけ何かに強く憧れていたわけではなかったけれど、受験を通してソッカー部という組織やそこにいる人を知っていくうちに、この場所がもつ魅力に惹かれていった。
それでも、入部してからしばらくの間はどこか「外側」に立っている感覚が拭えなかった。この組織に入って、学生幹部がいて、目標に向かって舵を切る風潮に初めて触れた。この人数だからこそ、学年隔てなく意見を求められる場面も多かった。しかし、良くも悪くも波風を立てるのも嫌で、自分と向き合う強さも持っていなかったから、つい当たり障りのない言葉でその場をやり過ごし、「正解がない話し合い」を、どこか文化として片付けた。
そのような時、テソンさんがおっしゃっていた「組織の戦闘力」の話。
何十人と部員を構える組織と違い、二十人前後のこの組織では一人ひとりの言動や姿勢次第で組織の戦闘力に大きく波及する。自分の言葉も行動も、誰かの心を動かす力をもっている。やっと、その力を発揮して還元しなければいけない重みに気が付かされた。その時には既に同期は各々が組織に自分が貢献出来ることを考えて、先まで見通して取り組んで、少しずつ変わろうとしていて、先輩からも信頼されていた。信頼されている周りと比べる程に、自分の弱みを見せることも、自分と向き合うことも、人と向き合うことも避けていた自分に焦りが募った。
だからこそ、「人の目に見える責任」の中に身を置いてみようと思った。それは、逃げでも挑戦でもなく、ただ、信頼の形を探すための小さな決意。ただの自己満だったかもしれないが、自分にしか見えないものや業務をこなすことで得られるかもしれないものに期待して、少しでも吸収し、還元できるものを探した。
一人ひとりが実現したい目標と組織として叶えたい目標。その乖離を、それぞれが持つ価値観を、ミーティングを重ねて何度も擦り合わせていく。正解がなくても、決断をしなければならない。自分の弱みを棚に上げて意見をせざるを得なかった。
「組織のために」と自分を犠牲にして決断をした姿。
計り知れない重圧の中でも先頭に立ち続ける姿。
置かれた立場で自分らしく組織のために向き合い、尽くし続けている姿。
結果で終わらせず、与えられた立場でやるべきことを全うするその姿に、「覚悟」を教えられた。
この組織は自分にとって正解だったのか。
本当に大事なのは正解か不正解かでも、その根拠を見つけることでも、成功しそうな道を選ぶことでも無かった。やると決めてやったことを、正解に変える。やろうとしていることに意味があるかないか、正しいのか正しくないのか。すぐに結果に結びつくこともあるし、思うような結果が出ないこともある。後者の方が多い中で、やれること、やるべきことを模索し続ける。成功か否かに拘らず、一瞬一瞬を振り返り、一つひとつの過程を丁寧に紐解き、意味を見出していく。組織のために、誰かのために、それをやり続けられる強さ。やったことを正解に変える労力を惜しまない人がこの組織には溢れている。
この組織では無意識に「信頼し合える組織」になろうともがいていたように思う。この人数だからこそ、学年の壁に囚われず時間をかけて自分とも相手とも向き合えたし、その人の人間味や大事にしている価値観、積み重ねに気が付くことができる。組織での決断も、誰かの決断も、あの人が決断したならついていく。もし仮に上手くいかなくても自分にできることで助けたい。そう思うことができる組織に、人に、出会うことができた。
約2年半ぶりの勝利。鳥肌が止まらない舞台での早慶戦。リーグ首位。
諸先輩方や本当に多くの方々が創り上げ、繋いできてくれたこの慶應という組織の伝統とたくさんの人の支えがあってこそ、自分の実力や能力だけでは、到底見られなかった景色を見ることができたし、いろいろな感情を味わうことができた。ここでの4年間は、この先も宝物として心に残り続けるような経験に溢れていたし、そのすべてが、私に成長のきっかけを与えてくれた。
それでも、「一部昇格」を目指し続けた4年間だったから、まだ何も成し遂げられてはいません。この場所に繋いでくださった周囲への感謝を忘れることなく、この場所を選んだ自分に胸を張って、自分らしく、最後までやり遂げます。
最後に。
テソンさんをはじめとした社会人スタッフの方々。
結果が伴わないことの方が多い4年間だったけれど、どんな時も、選手を信じて、選手以上に時間を費やして、私達と真剣に向き合い続けてくださり、ありがとうございました。その時々、たくさんの考え方や視点を与えてくださったおかげで、自信を持って慶應らしさを追求し、自分らしくここまでやり続けることができました。
そして同期。
こんなにもサッカーと組織が大好きで、尊敬できて誇れる同期に出会えて幸せでした。みんなとだから自分の感情に正直になれたし、できることで貢献したいと思えました。みんながいなかったら、見出せなかったサッカーの醍醐味も、この組織の魅力にも、大切にしたい価値観にも気が付くことができませんでした。1年生の時に掲げた早慶戦勝利やインカレに出るという目標は実現できなかったけれど、先輩達が託してくれた「一部昇格」という目標を実現するために、大好きな後輩たちに一部の舞台を残せるように、最後までエネルギー全開でやり抜こう。
他にも、女子部にも早慶戦の舞台やスポンサー関連をはじめとする多大なる支援をしてくださったOB・OGの皆様。いろいろな場面で女子部にご尽力いただいた男子部の皆さん。どんな時もどんなに遠いグラウンドにも足を運び応援し続けてくださった保護者の皆様。引退してからもいろんな形で応援し続けてくれた先輩方。最後まで愚直に泥臭く戦い続けてくれた頼もしい後輩達。多くの方々の数えきれない程の支えがあってこその4年間でした。ここでの学びや感謝を忘れることなく、自分らしい形で少しずつこの組織に恩返しができたらなと思います。
本当にありがとうございました。
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次は、TEAM2025を副将として支え続けたもりさんこと、守部葵にバトンを引き継ぎます。
最近では日和が命名した「ヘクタールおばさん」の愛称で慕われています。とにかく友達が多い彼女は、ひようらを歩くと道の反対側を歩いている友達にも話しかけに行きます。一度話せば友達認定をしてしまう彼女は、たとえ顔見知りでなくとも「KEIO」の文字が入った服や推しのグッズを纏った人とすれ違えば躊躇なく声をかけ、友達になりに行きます。よく人脈が広い人のことをコミュ力が高いとか、顔が広いなどと表現しますが、彼女の人脈は異常で「顔が広い」などでは到底表しきれず、「でかい」でも表現しきれず、「ヘクタールおばさん」に着地しました。
友達や推しだけでなく、膝にも時間とお金をかけている何かとスペ体質な彼女。今もなお爆弾を抱えていますが、何とかピッチに戻ってきてくれて本当に嬉しいです。最後何が何でも一部昇格して、残りの大学生ライフをのんびり満喫しよう。
ここでの4年間を振り返って彼女はどのような言葉を残すのか。
葵の引退ブログに乞うご期待ください。
まとまりがなく拙い文章ではありましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
今後共、ソッカー部女子へのご支援ご声援の程、よろしくお願いいたします。

